こんにちは。四谷ラボのやましんです。普段、お客様のご依頼で人工知能の研究をしています。ご依頼いただく内容は、ちょー真面目で、例えば、大規模災害対策のために、空撮映像から被害状況を瞬時に認識するようなやつとか。
今回の記事は、人工知能の学習時に排出される熱を利用して、温泉たまごをつくる計画の続編。もちろん、この計画もお仕事以上(?)に真面目に取り組んでます。
前回までのおさらい
パソコンの排熱を利用して、たまごを茹でるために、パソコンの水冷装置から、増設したラジエータにチューブをバイパスして、それを水槽に沈めたんだね。
下図だと、上側が従来のパソコンの水冷モデル。下側が温泉たまご製造器を接続したときのモデル。
制作した温泉たまご製造器に、6個のたまごをホールドできるペンギン型のエッグホルダーを入れるところ。
前回は、温泉たまご製造器とパソコンを接続するため、GPUとラジエータをつなぐチューブを分離した途端、冷却水が大量に漏れたけど、青い救世主が助けてくれたんだね。
その後、お礼が言いたくて、あたりを見回したんだけど、もう、どこにも姿がなかった。きっと、パソコンの裏に落ちてると思う。 詳しくは前回の記事を見てね。
【続】温泉たまご製造器とパソコンを接続する。
前回はこのバイパス手術に失敗したので、今回はうまくやる。
パソコンケース背面に、温泉たまご製造器専用(?)の、ちょうどいい穴があるので、ここへ増設ラジエータからの2本のチューブをズボッ!ズボッ!
ス~と入れていく。
増設ラジエータにつながる、片方のチューブをクイックリリースで、カシャーン!
もう一方も、カシャーン!
バイパス成功!それでは、さっそく電源を投入して、ポンプでクーラントを循環させます。
「電源オン!」
「あれ?」
「いつもなら、この辺で・・・。」
「・・起きない!」
「・・何も起きない!」
「トラブルが何も起きない!」
「大成功!」
電源を投入して、クーラントを増設側ラジエータへバイパスさせることに成功しました!!
チューブを延長した分、クーラントが不足するので、手際よくリザーバータンクに注入する。
温泉たまご製造器に、水道水とたまごを投入する。
その前に、以前の失敗もあるので、水槽の防水性能をテストしておくかぁ。
万一、たまごを茹でる最中に、水槽が壊れたら、火傷しちゃうからね。
「漏れるなよ。絶対に漏れるなよ。」
一歩ずつ前進するのが研究の鉄則。
例えば、納期直前にプログラムの不具合が発生してしまい、原因究明を急ぐあまり、同時に2つ以上のパラメータを変更して、かえって時間がかかってしまうことってあるよね?(特に、2徹目の朝とか)
おまけに、このやり方だと「どのパラメータが正しくて、どのパラメータが正しくないのか」を把握できないので、進捗を論理的に説明できないよね。だから、上司に報告する際に「まだ動きません」としか言えないよね。
そんなことをメンバーに言われた上司は、お客さんに「大丈夫です。もうすぐ動きます」としか言えないもんね。
一つ一つ可能性のある原因を潰していこう。
水槽の防水性能テスト
実を言うと、このアクリルケースは、水槽用じゃないのよ。プラモとかフィギュアとか飾って、逆さにして被せて使うやつ。
水槽に使う場合、本来なら、各接合部に三角形のアクリル棒を接着して、補強しないとだめなのよね。このアクリルケースはそれをやってない。その代わり厚みを5mmにしてる。
なので、念には念を入れ、水槽の防水性テストをやるのだ。
水が漏れたことがわかりやすいように、紙の上にアクリルケースを置いて、水道水を注いだ。水位の変化がわかるようにテープを貼っておく。
この状態で24時間放置した。
24時間後、敷いた紙には変化が無いけど、水位が若干下がってる・・・。あれ?
う~ん。表面張力を考慮して、水面と水平に目線を合わせて、計測したので、間違いない。
「間違いなく、水位は下がってる」
「よし、防水性能テストは、無かったこと。」
たまご
この計画の主役中の主役!前日の夜に近くのスーパーで購入した。10個入りたまご。
「誰や!食べたやつ!」
「これじゃ写真が映えへんのよ。」
水槽に水を満たす。
水槽にラジエータを沈めて、水を注ぎます!
ラジエータの進水式の動画は、こちら。 www.youtube.com
エッグホルダーの投入
水槽の水位が、多すぎず、少なすぎないことを確認するために、実際にたまごを6つセットして、エッグホルダーを投入する。
このとき、まだ、水は常温のまま。
人工知能学習プログラムで火力全開
深層学習プログラムを実行させて、数分待ってから、GPUのステータスを見てみよう。
GPU温度と稼働率の確認
ターミナルからnvidia-smiコマンドで見れる。
赤い四角がGPU温度。青い四角がGPU稼働率だ。2つのGPUが火力全開で学習してるのがわかる。
2つあるGPU表示の、上側は空冷型GPUで、直接はクーラントを加熱しないけど、パソコンケース内をいい感じに温めてくれている。そして、下側が、水冷型GPUだ。
『艦長!』
「なんだ?またこのパターンか?水でも漏れたのか?」
『いえ、稼働率100%、温度63℃上昇中。波動砲打てます!』
「待て。水槽の温度を確認せぃ!」
『アイサー』
水槽の温度を確認する。
『水槽56℃、上昇中』
「よし、波動砲よーい!」
『水槽58℃、上昇中。艦長!ご命令を!』
「今だ、だまご、投入ーーー!」
ぽちゃん。
エッグホルダーに、エッグタイマーと、5つのたまごをセットして茹でる。
ある日の船員同士の会話
『ちぇっ!また、これかよー』
「贅沢を言うな、船の上なんだから有難く思え」
『けど、この一週間で、何度目だ?』
「そうだなぁ、5、6食ってとこか。」
『これが艦長命令って、どうなってんだぁ?!』
「だけどまぁ、艦長にも何か考えがあるんじゃないか?」
まとめ
「エッグタイマーの色は、いっこうに、変化しなかった。」
「連日連夜、いろいろ試した。」
「パソコンケースの扉を閉じてみた。」
「水槽にアルミホイルの蓋をした。」
「あげくの果てに、部屋の煖房をガンガンにかけた」
「しかし、温泉たまごはできなかった。」
「いつも、水槽の温度は60℃だった」
「今日も、乗組員は、たまご尽くし定食だな」
(艦長の航海日誌より)
排熱温泉たまごの挑戦は続く・・・